発熱とは
発熱とは、体温が通常の範囲を超えて上昇する状態を指します。一般的に、体温が37.5℃以上になると発熱と見なされますが、個人差があり、健康状態や測定時間、測定場所によっても異なります。発熱は、体内で何らかの異常が生じていることを示す重要なサインであり、多くの場合、感染症や炎症、その他の体内反応が原因で起こります。
発熱は、免疫系が活性化し、病原体と戦うための防御反応として生じることが多いですが、時には重篤な病気の兆候である可能性もあります。したがって、発熱が続く場合や他の症状を伴う場合は、医療機関を受診することが重要です。
発熱の原因となる病気
感染症
最も一般的な原因は、細菌やウイルス、真菌などの病原体による感染症です。風邪やインフルエンザ、肺炎、尿路感染症などが代表的です。発熱は、体が病原体と戦っている証拠であり、免疫反応の一部として現れます。
炎症性の疾患
関節リウマチやクローン病などの膠原病でも発熱が見られます。これらの病気は、体の免疫系が過剰に反応し、自己組織を攻撃することによって引き起こされることがあります。
悪性腫瘍
一部のがんや悪性リンパ腫も発熱を引き起こすことがあります。これは、がん細胞が体内で増殖し、炎症や免疫反応を引き起こすためです。特に原因不明の長期間の発熱は、がんを疑うきっかけとなることがあります。
薬剤熱
一部の薬剤は、アレルギー反応や副作用として発熱を引き起こすことがあります。新しい薬を服用し始めた後に発熱が生じた場合は、薬剤熱の可能性があります。
熱中症
高温環境での過度な運動や長時間の滞在により、体温が異常に上昇することがあります。これにより、発熱や頭痛、めまいなどの症状が現れ、重篤な場合は生命の危険があります。
発熱時の注意点・対処法
水分補給
発熱により体温が上昇すると、汗をかくことで体内の水分が失われやすくなります。脱水症状を防ぐために、こまめに水分を補給することが大切です。特に、スポーツドリンクや経口補水液は電解質の補給にも役立ちます。
体を冷やす
高熱がある場合、体を冷やすことで体温を下げる効果があります。脇の下や首筋に冷たいタオルや氷嚢を当てると効果的です。また、部屋の温度を適度に保ち、通気性の良い服装を心がけましょう。
十分な休息
体が発熱しているときは、免疫系が活発に働いています。十分な休息を取ることで、体力の回復を促し、免疫力を高めることができます。無理をせず、安静に過ごすことが重要です。
適切な薬の使用
解熱剤は、体温を一時的に下げるのに役立ちますが、過度な使用は避けるべきです。体が病原体と戦っている間は、発熱が自然な防御反応であることを理解し、必要に応じて適切に使用することが大切です。
医療機関への受診
発熱が3日以上続く場合や、他の症状(強い頭痛、呼吸困難、意識障害など)が伴う場合は、すぐに医療機関を受診することが必要です。特に、小児や高齢者、基礎疾患がある方は注意が必要です。
受診のタイミング・目安
高熱が続く場合
体温が38.5℃以上の高熱が3日以上続く場合は、何らかの感染症や炎症性疾患が疑われます。早めの診断と治療が重要です。
強い頭痛や首の痛みがある場合
髄膜炎などの重篤な疾患が原因で発熱している可能性があります。強い頭痛や首の硬直が見られる場合は、直ちに医療機関を受診することが必要です。
意識障害やけいれんが見られる場合
高熱により意識が混濁したり、けいれんが起こる場合は、救急車を呼ぶべきです。これらの症状は、重大な疾患が原因である可能性があります。
発熱が続く乳幼児や高齢者
乳幼児や高齢者は、発熱に対する体力が低いため、重篤な状態に陥りやすいです。発熱が見られた場合は、早めに内科を受診しましょう。
特定の薬を使用中の場合
免疫抑制剤や抗がん剤などを使用している場合、発熱は重篤な感染症のサインであることがあります。薬の影響を受けている方は、必ず医師に相談してください。
体温計の使い方
正確に体温を測定するためには、体温計の使い方に注意する必要があります。
口腔内測定
デジタル体温計を口の中で測定する方法です。舌の下に体温計を入れ、口を閉じて測定します。約1分程度で測定が完了します。
脇の下での測定
一般的に使用される方法で、脇の下に体温計を挟んで測定します。測定中は、しっかりと体温計を挟み、動かないように注意します。測定時間は2〜3分程度です。
耳内測定
耳専用の赤外線体温計を使用して、鼓膜の温度を測定する方法です。耳を軽く引っ張りながら、体温計を耳の中に入れ、ボタンを押すとすぐに測定結果が表示されます。数秒で測定が完了します。
おでこでの測定
非接触型の体温計を使用して、額の表面温度を測定します。測定器を額に近づけ、数秒間待つと結果が表示されます。特に子供や高齢者に対して便利です。
測定時の注意点
体温を測定する前には、食事や入浴、運動など体温に影響を与える行動を避けることが重要です。また、測定前に体温計の電池を確認し、正確に機能しているか確認しましょう。
発熱についてよくある質問
発熱が38.5℃以上で、体が非常に辛いと感じる場合に解熱剤を使用することはあります。ただし、体が感染症と戦っている間は、発熱が体の防御反応であることを理解し、適切に使用することが重要です。頻繁に使用する場合は、医師に相談してください。
発熱がある場合でも、体力があり、無理なく入浴できると感じる場合は、ぬるめのお湯で短時間入浴することが可能です。ただし、熱が高い場合や体調が悪い場合は、無理せず安静に過ごしましょう。
食欲がないときは、無理に食事を摂る必要はありませんが、水分補給は欠かさず行いましょう。消化の良いものや、栄養価の高い飲み物を少量ずつ摂取することで、体力を維持できます。
子供が発熱した場合は、まず水分補給を心がけ、体を冷やす方法を試みましょう。また、ぐったりしている、呼吸が早い、けいれんがあるなどの症状が見られた場合は、すぐに医師の診察を受けることが必要です。
発熱が3日以上続く場合や、強い頭痛、呼吸困難、意識障害などの症状が伴う場合は、早めに医療機関を受診することが重要です。特に、小児や高齢者、持病がある方は注意が必要です。

仁川診療所
院長 横山 亮
(よこやま りょう)