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【皮膚科医が解説】冬の乾燥肌を救う!保湿クリームとリップケア

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冬になると肌がカサカサして困っていませんか?朝起きたときの肌のつっぱり感や、唇のひび割れに悩まされている方も多いはずです。実は、適切な保湿ケアを知っているかどうかで、冬の肌の状態は大きく変わってきます。

なぜ冬は肌が乾燥してしまうのか

冬の乾燥肌には複数の原因が重なっています。外気の湿度低下に加えて、暖房による室内の乾燥が肌から水分を奪い続けます。さらに気温が下がると、肌の天然保湿因子(NMF)や皮脂の分泌量が減少し、肌を守るバリア機能が弱まってしまうのです。

年齢を重ねることでも肌の保水力は低下しますし、睡眠不足や偏った食生活、熱いお風呂に長時間入る習慣なども乾燥を加速させる要因となります。また、甲状腺機能低下症や糖尿病、アトピー性皮膚炎などの疾患がある場合は、通常よりも乾燥しやすくなることがあるため、気になる症状がある方は医療機関への相談も検討しましょう。

乾燥肌を改善するスキンケアの基本ステップ

毎日のスキンケアで最も重要なのは、肌に優しい洗顔方法を実践することです。32~35度程度のぬるま湯を使い、低刺激性の洗浄料で優しく洗いましょう。熱いお湯は皮脂を過剰に落としてしまうため避けてください。

入浴時間は15分程度に留め、お風呂から上がったら5分以内に保湿ケアを行うことが理想的です。この「ゴールデンタイム」を逃さないことで、肌の水分蒸発を防げます。また、直接肌に触れる衣類は、コットンやシルクなど肌触りの良い天然素材を選ぶと、摩擦による刺激を減らせます。

体の内側からのケアも忘れてはいけません。1日1.5~2リットルを目安に水分補給を心がけ、ビタミンAやE、オメガ3脂肪酸を含む食事を意識的に取り入れることで、肌の健康維持につながります。

効果的な保湿クリームを選ぶためのチェックポイント

保湿クリーム選びで最も注目すべきは配合成分です。セラミドは角質層の隙間を埋めてバリア機能を高め、ヒアルロン酸は1グラムで6リットルもの水分を保持できる優れた保湿成分です。グリセリンやスクワランも肌なじみが良く、長時間潤いをキープしてくれます。

敏感な乾燥肌の方は、無香料・無着色・アルコールフリーの製品を選ぶことをおすすめします。「敏感肌用」「低刺激性」と表示されている製品や、アレルギーテスト済みの製品なら、より安心して使用できるでしょう。

朝のスキンケアでは、保湿成分とUVカット機能を併せ持つ製品を使うと効率的です。SPF20~30程度の日焼け止め効果がある保湿クリームなら、乾燥対策と紫外線対策を同時に行えます。

唇の乾燥を防ぐリップケアの選び方

唇は皮脂腺がほとんどなく、角質層も薄いため、顔の中でも特に乾燥しやすい部分です。保湿リップを選ぶ際は、セラミドやヒアルロン酸に加えて、ワセリンやシアバターなど油分でコーティングする成分が含まれているものが効果的です。

色付きリップを使いたい方は、保湿成分がしっかり配合されているかを確認してから選びましょう。タール系色素が刺激になることがあるため、天然由来の色素を使用している製品や、美容液成分としてビタミンEやコラーゲンが配合されているものがおすすめです。

リップケアは「予防」が大切です。唇が荒れてからケアするのではなく、日頃からこまめに塗り直すことで、健康的な唇を保てます。特に就寝前は、リップバームやリップマスクで集中ケアを行うと、翌朝の唇の状態が違ってきます。

保湿ケアの効果を高める生活習慣

室内の湿度管理は乾燥対策の基本中の基本です。理想的な湿度は40~60%で、これより低いと肌や粘膜が乾燥しやすくなります。加湿器を使用する際は、カビの発生を防ぐため定期的な掃除を忘れずに行いましょう。

食事面では、ビタミンA(レバー、にんじん、かぼちゃ)、ビタミンE(アーモンド、アボカド)、必須脂肪酸(青魚、亜麻仁油)を積極的に摂取することで、肌の潤いを内側からサポートできます。

質の良い睡眠も肌の回復には欠かせません。成長ホルモンが最も分泌される22時から2時の間に深い睡眠を取れるよう、就寝前のスマートフォン使用を控え、リラックスできる環境を整えることが大切です。

自分に合った保湿ケアを見つけるために

肌質は人それぞれ異なり、季節や体調によっても変化します。新しい製品を試す際は、まず腕の内側など目立たない部分でパッチテストを行い、24~48時間様子を見てから顔に使用しましょう。

製品選びに迷ったときは、ドラッグストアの薬剤師や化粧品カウンターのアドバイザーに相談するのも良い方法です。また、2週間以上使用しても改善が見られない場合や、赤み・かゆみが続く場合は、皮膚科医の診察を受けることをおすすめします。

冬の乾燥は避けられないものではありません。正しい知識と適切なケアで、寒い季節でも潤いのある健康的な肌を保つことができます。今日から始められる小さな習慣の積み重ねが、あなたの肌を守る大きな力となるはずです。

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副院長 横山 恵里奈

仁川診療所

副院長 横山 恵里奈

(よこやま えりな)