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【皮膚科監修】足の裏が痒い…その原因、本当に水虫ですか?

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足の裏がムズムズと痒い。多くの人がまず思い浮かべるのは「水虫かな?」という不安だと思います。確かに水虫はもっとも多い原因のひとつですが、実は水虫だと思って皮膚科を受診する患者さんの2〜3人に1人は、水虫ではない別の病気だといわれています。自己判断で市販の水虫薬を塗り続けると、かえって悪化してしまうケースも少なくありません。

ここでは、足の裏が痒くなる代表的な原因と、自分でできる対策、そして「これは病院へ」という見極めのポイントを、皮膚科の知見をもとに整理してお伝えします。

いちばん多いのはやっぱり水虫(足白癬)

足の裏の痒みの相談で統計的にもっとも多いのが水虫です。水虫(足白癬)は、皮膚糸状菌(白癬菌)というカビの一種が皮膚の角質を餌に増殖することで起こります。足は靴の中で蒸れやすく、湿気を好むこの菌にとって格好の住みかになりやすいのです。

症状の出方はひとつではありません。足の指の間が白くふやけてただれるもの、足の裏や側面に小さな水ぶくれができるもの、かかとが硬くひび割れて粉をふくものなど、現れ方はさまざまです。ちなみに、ガサガサと角質が厚くなるタイプは痒みが出ないこともあり、「痒くないから水虫じゃない」とは言い切れない点も厄介なところです。

また、水虫は蒸れだけでなく接触によっても広がります。感染した人が使ったタオルや、プール・温泉・ジムなどの共用の床を介してうつることがあり、家庭内での感染にも注意が必要です。日本人にとって水虫は決して珍しい病気ではなく、足水虫の患者数は約2500万人、実に5人に1人がかかっているとされます。それだけ身近だからこそ、つい自己判断で済ませがちなのが落とし穴になります。

水虫とそっくりな「ニセ水虫」――汗疱(異汗性湿疹)

水虫と見分けがつきにくく、素人判断をいちばん難しくするのが汗疱(かんぽう)です。別名を異汗性湿疹といい、足の裏や手のひらに透明で小さな水ぶくれが多数でき、強い痒みや皮むけをともないます。夏など汗をかきやすい時期に悪化しやすいのが特徴ですが、水虫のようなカビは存在しません。

名前に「汗」とつくため汗そのものが原因と思われがちですが、実際はもう少し複雑です。汗腺の詰まりが直接の原因ではなく、湿疹と同じ皮膚の炎症や、何らかの物質に対するアレルギー反応が関係していると考えられています。意外な誘因として、歯科治療の詰め物や食事に含まれる微量の金属(ニッケル・コバルト・クロムなど)が体内で反応を起こす「全身型金属アレルギー」や、精神的なストレスによる発汗の乱れが関わることもあります。

ここで知っておきたいのが、水虫と汗疱では治療法が正反対になりうるということです。水虫だと思って市販の水虫薬を使っても全然よくならない場合は、汗疱の可能性があります。水虫薬や、逆にステロイドの自己使用は症状を悪化させかねず、肉眼での見分けは難しいため、一度皮膚科で検査を受けるのが確実です。

「かぶれ」や「乾燥」が原因のことも

痒みの原因は感染症や湿疹だけではありません。新しい靴下やサンダル、洗剤などが肌に合わずに起こる接触皮膚炎(かぶれ)も、足の裏の痒みを引き起こします。触れた物質による刺激性のもの、使ううちにアレルギーを獲得して生じるものがあり、いずれも赤みや痒み、ときに痛みをともないます。

また、見た目に何の変化もないのに痒い、というときは皮膚の乾燥が隠れていることがあります。角質の水分が減ってバリア機能が落ちると、わずかな刺激でも痒みを感じやすくなります。こうした皮膚掻痒症のなかでもっとも多いのが乾燥(ドライスキン)によるもので、多くは保湿剤で改善します。

見落としたくない、全身の病気が隠れているケース

足の裏の痒みが、体の内側からのサインであることもあります。代表的なのが糖尿病です。糖尿病では皮膚の保湿機能が低下し、足やすねが乾燥しやすくなります。粉をふいたような皮膚や、夜間に強くなる痒みが特徴で、加齢による乾燥と区別がつきにくいため注意が必要です。

さらに、高血糖で末梢神経に障害が起こると痒みや痛みの感覚が鈍くなり、小さな傷やかゆみに気づくのが遅れて感染症が悪化しやすくなります。糖尿病以外でも、肝臓や胆嚢の病気、慢性腎不全、甲状腺などの内分泌疾患などが、皮膚掻痒症の原因になることがあります。「ただの痒み」と侮らないことが大切です。

自分でできる対策

まずは足を清潔で乾いた状態に保つことが基本です。汗をかいたら通気性のよい靴下を履く、濡れたら靴下を替える、適度に靴を脱いで蒸れを逃がすといった工夫が、水虫にも汗疱にも有効です。とくに足の指の間は湿気がたまりやすいので、洗ったあとはしっかり乾かしましょう。乾燥が疑われる場合は、入浴後に保湿剤でケアするだけでもかなり違います。

水虫の場合は、家庭内でうつさない・もらわない工夫も大切です。タオルやバスマット、スリッパは家族と共用せず個別に使うようにすると、感染の広がりを防げます。

一方で気をつけたいのが、自己判断で薬を使い続けないことです。前述のとおり、水虫と汗疱では適した薬がまったく異なります。市販の水虫薬を漫然と塗り続けると、本当の原因の診断を遅らせてしまうこともあります。

こんなときは皮膚科・内科へ

セルフケアを続けても2週間ほどでよくならない、あるいは繰り返す場合は受診のサインです。痒みが長く続いたり繰り返すときは、水虫なのか他の病気なのかを調べるためにも皮膚科に相談しましょう。とくに糖尿病など持病がある方は要注意で、しびれや感覚の麻痺、黒っぽい変色や強い痛みがある場合は緊急性が高いことがあり、自己判断せず早めに受診することがすすめられます。

水虫か汗疱かは皮膚の一部を顕微鏡で見れば見分けがつきます。たったこれだけの検査で原因がはっきりし、遠回りせずに正しい治療へ進めます。「たかが痒み」と我慢せず、気になるときは専門家に診てもらうのがいちばんの近道です。

副院長 横山 恵里奈

仁川診療所

副院長 横山 恵里奈

(よこやま えりな)