当院では、2027年(令和9年)4月から「心臓リハビリテーション(心リハ)」を始める予定で、現在準備を進めています。その心リハで取り入れる予定なのが、「レッドコード」という運動器具です。
「名前は聞いたことがあるけれど、どんなものかわからない」「心臓の病気なのに運動して大丈夫?」と思われる方も多いのではないでしょうか。今回は、レッドコードの仕組みと、なぜ心臓リハビリに役立つのかを、循環器専門医・心臓リハビリテーション指導士の立場からわかりやすくご説明します。

レッドコードとは?
レッドコードは、リハビリの先進国として知られる北欧ノルウェーで生まれた運動・リハビリ用の器具です。天井やフレームから吊り下げた赤いロープと、「スリング」と呼ばれる布製の吊り帯を使い、腕や脚、体を支えながら運動を行います。
約30年にわたる研究と臨床の積み重ねがあり、現在では世界各国の病院やクリニック、介護施設、さらにはアスリートのトレーニングの場まで、幅広く使われています。
イメージとしては、「体の重さの一部をロープが肩代わりしてくれる運動」です。ふだんは重くて上がりにくい腕や脚も、ロープに支えられると軽い力で動かせます。反対に、ロープの「揺れ」を利用して、あえて体幹やバランス力を鍛えることもできます。一つの器具で、やさしい運動からしっかりした運動まで対応できるのが大きな特長です。
レッドコードの3つの特徴
(1)体の重さを軽くして、痛みや不安が少なく動ける
ロープで体を吊って支えることで、重力による負担を減らした状態で運動ができます。膝や腰に痛みがある方、手術後で体を動かすのが不安な方でも、無理なく動かしやすいのが特徴です。力が抜けてリラックスしやすいという利点もあります。
(2)負荷を細かく調整できる
ロープの長さや支える位置を変えることで、「ほとんど力を使わない運動」から「しっかり筋肉を使う運動」まで、段階的に負荷を調整できます。寝た姿勢・座った姿勢・立った姿勢のいずれでも行えるため、体力や体の状態に合わせたメニューを組み立てやすくなります。
(3)「揺れ」を利用してバランス力を養う
吊られたロープはわずかに揺れるため、体は自然とバランスを取ろうとします。この働きによって、姿勢を支える体の奥の筋肉(体幹)やバランス感覚が刺激され、ふらつきや転倒の予防にもつながります。
なぜ心臓リハビリにレッドコードなのか
心臓リハビリの運動の中心は、自転車こぎなどの「有酸素運動」と、筋肉を鍛える「筋力トレーニング」です。日本循環器学会などがまとめた「心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン(2021年改訂版)」では、これらに加えて、バランスや柔軟性のトレーニングを組み合わせた運動も勧められています。
一方で、心臓病の患者さんは高齢の方が増えており、膝や腰の痛み、筋力の低下、ふらつきなどを抱えている方も少なくありません。「筋トレはきつそう」「転ぶのが怖い」と、運動そのものに抵抗を感じる方もいらっしゃいます。
レッドコードは、ロープに支えられた安心感のある状態で、筋力トレーニング・バランス練習・ストレッチをまとめて行えるため、こうした方にも取り組みやすい運動です。複数の方と一緒に楽しく行えることも、リハビリを「続ける」うえで大きな助けになります。
なお、心臓リハビリではレッドコードだけを行うわけではありません。診察や検査の結果をもとに医師が一人ひとりに合った運動の強さを決め、血圧や脈拍などを確認しながら、有酸素運動や筋力トレーニングと組み合わせて安全に進めていきます。
心臓リハビリテーションとは? 対象となる方
心臓リハビリテーションは、心臓病の方が体力を取り戻し、病気の再発や再入院を防ぎながら、自分らしい生活を送れるようにするための総合的なプログラムです。運動療法を中心に、食事や服薬、生活習慣の見直しについてもサポートします。
主に次のような病気の方が対象となり、健康保険を使って受けることができます(実施期間などには決まりがあります)。
・心筋梗塞、狭心症
・心不全
・心臓の手術を受けた方(弁膜症、冠動脈バイパス手術など)
・大動脈の病気
・足の血管が狭くなる病気(末梢動脈疾患) など
「退院してから体力が落ちた」「息切れが心配で動くのが怖い」「どのくらい運動してよいのかわからない」——そのようなお悩みをお持ちの方にこそ、心臓リハビリをおすすめしたいと考えています。
仁川診療所の心臓リハビリ(2027年4月開始予定)
私はこれまで大学病院や市立ひらかた病院の循環器内科で、心臓病の治療に携わってきました。治療を終えて退院された後、体力の回復や再発予防のために運動を続けることがいかに大切かを、日々実感してきました。
しかし、病院での心臓リハビリは通院の負担が大きく、途中でやめてしまう方も少なくありません。「住み慣れた地域で、通いやすいかかりつけ医のもとで続けられる心臓リハビリを」——そんな思いから、当院では2027年4月の開始に向けて準備を進めています。
当院の心臓リハビリでは、循環器専門医・心臓リハビリテーション指導士である私と、理学療法士などの専門スタッフが連携し、レッドコードを取り入れた運動プログラムをご提供する予定です。開始日や受診方法などの詳細は、決まり次第ホームページでお知らせします。
まとめ
レッドコードは、ロープで体を支えながら、一人ひとりに合った強さで筋力・バランス・柔軟性を鍛えられる運動器具です。「運動は苦手」「体力に自信がない」という方でも、安心して取り組みやすいのが魅力です。
心臓病の治療後の体力づくりや再発予防について気になることがあれば、どうぞお気軽に仁川診療所へご相談ください。
お問い合わせ・ご予約はお電話またはWEBからどうぞ。

仁川診療所
院長 横山 亮
(よこやま りょう)