インフルエンザ予防接種の効果と重要性|なぜ毎年接種が必要なのか
インフルエンザは突然の高熱や強い全身症状を引き起こす感染症で、特に高齢者や持病のある方にとっては命に関わる合併症のリスクが潜んでいます。
インフルエンザ予防接種の主な目的は、完全な感染防止ではなく、発症リスクの低下と重症化の予防にあります。ワクチン接種により体内に抗体が作られるまでには約2週間必要ですが、この準備期間を経ることで、流行シーズン中の感染リスクを大幅に減少させ、万が一感染しても症状を軽く抑える効果が期待できます。
インフルエンザ予防接種はいつから?最適な接種時期を解説
ベストな接種タイミングは10月下旬~11月上旬
インフルエンザ予防接種を「いつから」受けるべきかは、多くの方が迷うポイントです。一般的に推奨される接種時期は、10月下旬から11月初旬です。この時期に接種することで、12月以降の本格的な流行期に備えることができます。
地域により流行のピークは異なりますが、例年12月から3月にかけて患者数が急増する傾向があるため、流行前の早めの接種が重要です。特に以下の方は、優先的に早期接種を検討してください。
- 65歳以上の高齢者
- 生後6ヶ月以上の乳幼児
- 妊娠中の方
- 慢性疾患をお持ちの方
ワクチン接種の間隔|2回目は必要?適切な接種回数とは
同一シーズン内での追加接種は、原則として必要ありません。1回の接種で、そのシーズン全体をカバーする免疫効果が得られます。
ただし、前回の接種から1年以上経過している場合や、免疫力が著しく低下している状況では、医師の判断により追加接種を検討することもあります。毎年の接種が推奨される理由は、流行するウイルス株が年ごとに変化するためです。
インフルエンザ予防接種の効果|どのくらい続く?本当に効くの?
ワクチンの実際の効果と持続期間
インフルエンザ予防接種の効果は、主に2つの側面から評価されます。
- 発症予防効果:感染しても発症を抑える
- 重症化予防効果:入院や死亡リスクを低減する
ワクチンによる抗体は、接種後約6ヶ月間維持されることが一般的です。ただし、効果の程度は個人の免疫状態や、その年の流行株とワクチン株の一致度により変動します。
予防接種を受けてもインフルエンザにかかる理由
「ワクチンを打ったのにインフルエンザにかかった」という経験をお持ちの方もいるでしょう。これには以下の理由があります。
- 株の不一致:実際の流行株とワクチン株が完全に一致しない場合
- 個人差:免疫反応の強さには個人差がある
- 接種時期:抗体ができる前に感染してしまうケース
- 他の感染症:インフルエンザ以外の風邪症状との混同
それでも、ワクチン接種により症状が軽減される可能性は高く、接種の意義は十分にあります。
インフルエンザ予防接種の副反応|知っておきたいリスクと対処法
よくある副反応と頻度
インフルエンザ予防接種後の副反応は、多くが軽微で一時的なものです。
局所反応(接種部位)
- 痛み、赤み、腫れ(約10~20%)
- 通常2~3日で自然に改善
全身反応
- 微熱、倦怠感、頭痛(約5~10%)
- 多くは接種後1~2日で回復
重篤な副反応(極めてまれ)
- アナフィラキシー(100万回に1~2件程度)
- ギラン・バレー症候群(100万回に1件未満)
副反応が出たときの適切な対処法
接種後に以下の症状が現れた場合の対処法をご紹介します。
軽い症状の場合
- 接種部位の痛み:冷やすことで緩和
- 微熱や頭痛:市販の解熱鎮痛薬の使用も可(用法用量を守って)
すぐに受診が必要な場合
- 38℃以上の高熱が2日以上続く
- 呼吸困難や喉の腫れ
- 全身に広がる発疹
- 意識がもうろうとする
インフルエンザ予防接種を受けるべきか?対象者別の推奨度
積極的に接種を推奨する方
以下の方々は、インフルエンザ予防接種を受けるべきか迷った場合、積極的な接種をおすすめします。
ハイリスク群
- 65歳以上の高齢者
- 生後6ヶ月~5歳未満の乳幼児
- 妊娠中または妊娠を予定している方
- 慢性呼吸器疾患、心疾患、腎疾患、糖尿病などの基礎疾患がある方
感染拡大防止の観点から推奨
- 医療従事者、介護従事者
- 保育士、教職員
- 高齢者や乳幼児と同居している方
- 受験生やその家族
接種を控えるべき・慎重になるべきケース
以下に該当する方は、医師との相談が必要です。
- 過去にワクチンで重篤なアレルギー反応を起こした方
- 卵アレルギーが重度の方(製造過程で卵を使用するため)
- 現在、37.5℃以上の発熱がある方
- 急性疾患にかかっている方
インフルエンザ予防接種を受ける際の重要な注意点
接種前の準備
- 体調を整え、十分な睡眠をとる
- 現在服用中の薬(特に血液をサラサラにする薬)を医師に伝える
- アレルギー歴、過去の副反応歴を正確に申告
接種当日から接種後の過ごし方
- 接種後30分は医療機関内または近くで待機
- 接種当日の激しい運動や飲酒は控える
- 入浴は可能だが、接種部位を強くこすらない
- 接種後48時間は体調変化に注意を払う
まとめ|インフルエンザ予防接種で自分と大切な人を守る
インフルエンザ予防接種は、完全な感染防止ではなく、発症と重症化のリスクを下げることが主な効果です。いつから接種すべきかは10月下旬~11月初旬がベストタイミングで、効果は約6ヶ月持続します。
副反応のリスクは存在しますが、多くは軽微で一時的なもの。特に高齢者や基礎疾患のある方、医療従事者などは、受けるべきかで迷った場合は接種のメリットが大きいといえます。
ご自身の健康状態や生活環境に応じた個別のご相談は、かかりつけ医や当院までお気軽にお問い合わせください。適切な時期に適切な予防接種を受けることで、この冬を健康に乗り切りましょう。
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仁川診療所
院長 横山 亮
(よこやま りょう)