発熱を感じたとき、「これは病院に行くべき?」「何度からが本当の発熱?」と迷うことはありませんか。体温計の数字だけでなく、だるさや喉の痛みといった体全体の症状を見ながら、適切なタイミングで受診することが大切です。発熱の基準や自宅でのケア方法、発熱外来の利用方法について、解説します。
発熱とは?体温の基準と体に現れるサイン
何度からが発熱なのか
一般的に、成人では37.5℃以上を微熱、38℃以上を明らかな発熱として扱うことが多くなっています。ただし、平熱には個人差があり、普段から36℃台前半の方であれば37℃台でも体調の変化を感じることがあります。
また、体温は測定する場所や時間帯によって変わります。朝は低く、夕方にかけて少し高くなるのが通常のリズムです。そのため、「何度だから必ず病院へ」と一律には言えず、普段の自分の体温や体調の変化と比べることが重要になります。
発熱時に現れやすい症状
体温が上がると、体のほてりや寒気を感じることがあります。他にも次のような症状が伴うことが多いです。
倦怠感や頭痛、関節の痛みといった全身症状に加え、喉の痛みや咳、鼻水などの呼吸器症状が出ることもあります。食欲が落ちたり、汗をかいて脱水気味になったりする場合もあるため、水分補給を意識することが大切です。
発熱を引き起こす主な病気
発熱の原因として最も多いのは、風邪やインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症などのウイルス性感染症です。細菌による肺炎や尿路感染症でも高熱が出ることがあります。
また、長く続く発熱の場合は、自己免疫疾患や腫瘍性の病気が隠れている可能性もあるため、数日経っても改善しない場合は医療機関での相談が必要です。
正しい体温の測り方と自宅でのケア
体温計の使い方で気をつけたいこと
体温を正確に測るためには、測定する場所を毎回同じにすることが大切です。わきの下で測る場合は、汗を拭いてからしっかりと閉じて測定します。口の中や耳で測るタイプもありますが、それぞれ若干の誤差が出やすいため、説明書に従って正しく使いましょう。
測定前には、激しい運動や入浴、食事を避け、安静にしてから測ることで、より正確な値が得られます。
自宅で体温を管理するポイント
一日の中で体温は自然に変動するため、毎日同じ時間に測る習慣をつけると、自分の体調の変化に気づきやすくなります。記録をつけておくと、受診時に医師へ正確な情報を伝えやすくなります。
また、発熱時は脱水になりやすいため、水やお茶、経口補水液などをこまめに飲むよう心がけてください。解熱剤は症状を和らげる手助けにはなりますが、長期間の自己判断での使用は避け、医師や薬剤師に相談しましょう。
発熱の原因を見極める
ウイルス性と細菌性の違い
発熱の原因には、ウイルスによるものと細菌によるものがあります。風邪やインフルエンザの多くはウイルス性で、抗生物質は効きません。一方、肺炎や尿路感染症など細菌が原因の場合は、抗菌薬による治療が必要になることがあります。
症状の経過や血液検査の結果などを総合的に見て、医師が判断します。
インフルエンザや新型コロナとの関連
インフルエンザや新型コロナウイルス感染症では、急に高熱が出て、強いだるさや関節痛を伴うことが特徴です。これらは検査キットで迅速に診断できるため、疑わしい症状があれば早めに受診することが推奨されます。
風邪や花粉症でも発熱することはある?
一般的な風邪でも、軽い発熱が出ることはよくあります。花粉症そのもので高熱が出ることは少ないですが、副鼻腔炎などの合併症が起きた場合には発熱することもあります。
だるいとき・喉の痛みがあるときの受診タイミング
こんなときは早めに受診を
次のような場合は、自宅での様子見だけでなく、医療機関への相談が必要です。
38℃以上の高熱が数日続いている場合や、呼吸が苦しい、胸が痛い、意識がはっきりしないといった症状があるときは、すぐに受診してください。水分がとれず、尿の量が減っているなど脱水の兆候が見られる場合も注意が必要です。
だるさが強い場合は、体が感染症と戦っているサインです。動くのもつらいほどのだるさや、日常生活に支障が出るレベルであれば、発熱外来の受診を検討しましょう。
喉の痛みがひどい場合、特に水や食べ物が飲み込めない、声が出にくい、呼吸がしづらいといった症状を伴う場合は、早めの受診が必要です。溶連菌感染症や扁桃炎など、抗菌薬による治療が必要な病気の可能性もあります。
また、感染症の流行期に濃厚接触があった場合や、高齢者、乳幼児、妊婦、持病のある方は、早めの相談が安心につながります。
自宅で安静にするときのポイント
発熱時は無理をせず、しっかりと体を休めることが第一です。水分と適度な塩分をこまめに補給し、脱水を防ぎましょう。スポーツドリンクや経口補水液が役立ちます。
だるさが強いときは横になって休み、喉の痛みがあるときは、温かい飲み物やのど飴で潤いを保つと楽になることがあります。
解熱鎮痛薬を使う場合は、用法用量を守り、症状が改善しない場合や悪化する場合は、早めに医師に相談してください。
医師に相談したほうがよいケース
発熱が1週間以上続く、または繰り返し発熱する場合は、単なる風邪ではない可能性があります。75歳以上の高齢者や乳幼児、妊娠中の方、糖尿病や心疾患などの基礎疾患がある方は、重症化のリスクが高いため、早めの受診をおすすめします。
発熱外来の利用方法と予約の流れ
発熱外来とは?
発熱外来は、発熱や呼吸器症状のある患者さんを、通常の外来とは別の場所や時間帯で診察する仕組みです。感染症の拡大を防ぎ、他の患者さんへの配慮としても重要な役割を果たしています。
発熱外来では、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症などの検査を迅速に行うことができ、適切な診断と治療につなげることができます。
予約と受診の流れ
多くの医療機関では、発熱外来を利用する際に事前予約を求めています。電話やオンラインで予約し、症状や発熱の経過を伝えておくとスムーズです。
予約時には以下の情報を伝えると良いでしょう。
- いつから発熱しているか、最高体温は何度か
- だるさや喉の痛みなど、他にどんな症状があるか
- 感染症の濃厚接触があったか
- 持病や服用中の薬があるか
お問い合わせ・ご予約はお電話またはWEBからどうぞ。
一般外来との違い
発熱外来では、感染症を疑う患者さんを専門的に診る体制が整っています。検査や診察の流れも感染対策を重視した形になっているため、安心して受診できます。
発熱がない他の症状で受診する場合は、一般外来を利用することになりますが、発熱がある場合は必ず事前に医療機関へ連絡し、発熱外来の有無を確認してください。
発熱時の食事と水分補給
必要な栄養素
発熱時は体力を消耗しやすいため、たんぱく質やビタミン、ミネラルをバランスよく摂ることが大切です。消化の良いおかゆやうどん、スープなどから始めて、徐々に普段の食事に戻していきましょう。
喉の痛みがあるときは、柔らかく煮た野菜や豆腐、卵料理など、刺激の少ない食べ物を選ぶと良いでしょう。
水分補給が欠かせない理由
発熱や発汗によって体の水分が失われやすくなります。のどが渇いたと感じる前に、こまめに水分を補給することが脱水予防につながります。水だけでなく、塩分や糖分を含む経口補水液やスポーツドリンクも活用してください。
喉の痛みがあるときは、冷たすぎず熱すぎない、常温か少し温かい飲み物が飲みやすいでしょう。
解熱剤の正しい使い方
解熱剤は熱を下げるだけでなく、痛みやだるさを和らげる効果もあります。ただし、使いすぎると体の自然な回復力を妨げることもあるため、医師の指示に従い、適切なタイミングで使用しましょう。
医療機関での検査について
どんな検査が行われるか
発熱の原因を調べるために、血液検査や鼻やのどからの検体採取によるウイルス検査、胸部X線検査などが行われます。症状や経過に応じて、必要な検査が選ばれます。
発熱外来での主な検査
インフルエンザや新型コロナウイルスの迅速検査、血液検査による炎症反応の確認、尿検査などが一般的です。検査結果によって、その後の治療方針が決まります。
検査結果を受けた後の対応
陽性と判断された場合は、抗ウイルス薬や抗菌薬の投与が検討されます。軽症であれば、自宅での安静と水分補給、経過観察が中心になることもあります。症状が改善しない場合や悪化した場合は、再度受診して再評価を受けることが大切です。
お問い合わせ・ご予約はお電話またはWEBからどうぞ。

仁川診療所
院長 横山 亮
(よこやま りょう)